その日一番の願いを叶えてしまった。
まだお昼すぎの沖縄をレンタカーで走り抜けながら、私はその日の中でもう一つ、叶えたかったことに向かっていた。
それは何かというと……青の洞窟でのスキューバダイビングだ。
「今日の夜飛行機で来ました」
「その日のうちに、飛行機に乗った人、乗る予定がある人はお断りしてるんだよね。ほら、深海に行くから高低差がありすぎて体に負荷がかかるの」
ガーン
確かに……雲の上から海の底……でもスキューバダイビング……沖縄の海でやってみることが夢だったやつ……仕方ない……あぁ、でも。
ぴえんって顔しておっちゃん見てたら
「……底まで潜らないんだったら……いいかな」
「やったぜ!!!!!!!」
「あなた運がいいねぇ 1週間前から嵐がひどくて、波が危険だから昨日まで出来なかったんだ。今日から青の洞窟へのダイビングがまた許されたんだよ」
「え!そうなんですか」
ダイビングは普通は何人かをダイバーの人が連れて行く、というものらしいが、その日は私一人だけだった。どっぷんどっぷんと太くて分厚い波が船底を鈍くうつ。まだ嵐の濁りを含んだ青のうねりに、じわじわと腹から冷たさが湧いた。
ポンプを口に含むと、呼吸の仕方が変わる、と教えられた。勝手に酸素ボンベから酸素が供給されるシステムなので、簡単になにが違うかというと
だけど、間違えていつも通り吸おうとすると大変なことになった。酸素ボンベがないと息ができないこと、いつもと違う呼吸を繰り返すことは凄まじい恐怖だった。
だけど、海の中で餌をちょこちょこ出したら、濁りをくぐり抜けて、匂いを感知したのか、お魚がいっぱい寄ってきた。私の手から魚が餌を食べてる!!!感動。その時、ふっと怖かったけど、どうしたらいいかわかった気がした。
おっちゃんが私を上から掴んで、引っ張りながら、泳いでくれる。呼吸を任せ、力を抜くことが、コツだった。ぶっ飛ばされるまま身を任せ、波の下で、海を飛ぶのだ。
波に濁りがある青の洞窟は、びっくりするほど神秘的だった。ゴーグルの下でしぱしぱ瞬きしながら、心の中で思った。
「海の中で、魚になってる」
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